進級審査や関連事務所の所属オーディションは、声優を目指して日々声優養成所でレッスンに励んでいる方にとっては、今までやってきたことの集大成を見せる場となります。
今回は、そんな進級審査や所属審査を目前に知っておいて欲しい
- 演技を楽しむこと
- リラックスして演技をすること
の重要性について改めてお話ししたいと思います。
リラックスした演技が生み出すもの
今の声優さんや役者さんの中には、「友達の付き添いでオーディションを受けてたまたま受かった」という方もいます。
似たようなもので、
「そんなに声優の仕事に興味はなかったけれど、養成所に通って所属になり、有名になった」
という人もいます。
レッスン中に遊んでばかりで怒られていたというエピソードを話す方もいますね。
これらの話が本当だとすると、こういった方が夢を掴み取ったのには、一つの共通の理由があると考えています。
それは「リラックスしていたこと」です。
声優のオーディションを受けようと思う時点で、元々役を演じることが好きな方だと思います。
そんな人が気取らず、落ちてもいいや、という軽い気持ちでオーディションを受けたからこそ、リラックスした状態で、人を魅了する演技ができたため受かったということに他ならないと思います。
役を楽しむこととリラックスの関係
リラックスというのは、役を演じる上でとても大切なことです。
なぜなら、リラックスをしていないと演技の場でその役として生きることが難しいからです。
子供のころの「ごっこ遊び」はまさに、リラックスした演技です。
台本などなく、セリフも行動も「その役」として、自然に出てくるものばかり。
何かになりきることが楽しくて仕方がない。
ごっこ遊びをしている子供は、紛れもなく、その場を生きる役者に他なりません。
子どもの頃のこの感覚こそ、声優のような「役者」を目指す人が常に持っていなくてはいけない感覚です。
ですが、今本気で演技と向き合っている人ほど、このリラックスした状態で楽しく演技をする、ということを忘れがちです。
真剣だからこそ、頭の中で演技を構成してしまうのです。
例えば、
- 次のセリフは誰が何を言うのか?
- 動きはどんなものか?
- この役ならどんなことを言うか?
など、全てを頭で考えてしまうのです。
失敗をしたくない、かっこいいところ、可愛いところを見せたい、という気持ちから全身に力が入り、緊張した状態に陥ってしまいます。
そうなると、喉はしまるわ、動きは不自然になるわで何も良いことがありません。
ですから、この所属審査や進級審査が近い今、もう一度初心に帰って、下手でも似合わなくても、厨二病でも、一度「演技を思いっきり楽しむ」ということをやってみてください。
やりたいように、やりましょう。
演じたいように演じるのです。
セリフなんて、適当で構いません。
あなたが思うその役を思いっきり楽しんで演じるのです。
自分で将来演じたい役柄のキャラクターを作るのもいいでしょう。
自分の好きな作品に新キャラを登場させて、その役を演じてみるのも良いです。
とにかく、楽しんで演技をするのです!
本番前の今の時期に、こりかたまった演技をほぐすことで、本番でもリラックスしながら楽しんで演技をできるようになり、相手を魅了するような役者に一歩近づけるようになります。
自分が演技を楽しんではじめて、相手を魅了することができる!
もちろん、基礎があってこそプロになれるというのは当然のことです。
しかし、基礎ができていても相手を魅了することができなければプロにはなれません。
相手を魅了する演技をするためには、自分自身が楽しむことです。
自分自身が楽しんで、その役として舞台上やマイク前で生きるのです。
お客さんは、あなた自身ではなく、「その役の生きている姿」が見たいのです。
日本人は、努力=辛いものとして捉えがちですが、実際、好きこそものの上手なれ、こそ本当の意味での「努力」のあり方だと思います。
好きだからこそ、頑張るのです。
好きだからこそ、もっと上手くなりたいと思うのです。
楽しいからこそ、好きなのです。
1年間、毎日コツコツ基礎練習を積んできた方なら、基礎はある程度身体に染みついているでしょう。
進級審査、所属審査の本番では、楽しみながら演技をしましょう。
まずはお客さんの前に出る前に、審査員を魅了する。
それこそ、相手に魅せる演技をする、プロへの第一歩です。
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