以前、外郎売りの覚え方の記事を掲載し、とても多くの反響を頂きました!
外郎売り本文【ふりがな付き】
しかし、まだまだ「外郎売りを覚えるのは難しい」と感じている方も多いと思います。
外郎売りが覚えにくい最大の原因は、「外郎売りの意味が理解できない」からだと思います。
ということで今回は、外郎売りの意味について簡単に説明したいと思います。
何かを覚える際に、「元の意味まで知る」というのは大切ですが、声優を目指している皆さんが外郎売りを暗記するのは、
滑舌練習や、表現練習の課題である場合がほとんどだと思いますので、今回は最低限、情景を想像できる為の訳になります。
外郎売りの覚え方!台本の効率の良い暗記方法とは?の記事と合わせて使用して頂く事で、各段に、外郎売りが覚えやすくなると思います!
外郎売りの意味
早口言葉に関しては、意味よりも語感が大切だと思うので、掲載していません。
機会があれば、掲載したいと思います。
段落一
私の親方は、皆さまの中には知っている方もいると思いますが、
江戸から二十里上方(距離)相州小田原一色町を過ぎ、青物町を登ったところにある
欄干橋の虎屋の藤右衛門と申す者です。
今は、髪を剃り、和尚さんのような姿になり、円斉と名乗っています。
元旦から大晦日まで、手に入るこの薬ですが、
昔「ちん」という国の「外郎」という人が日本にきました。
その方が帝に挨拶するときに、この薬を自分の冠の中に大事にしまっておき、
使う時にだけ、一粒ずつ、冠の隙間から取り出しました。
そのため、帝から「透頂香」という名前を貰いました。
文字では「頂」「透く」「香」と書いてとうちんこうと読みます。
現在はこの薬、想像以上に世の中に広まり、方々に偽看板が出て、
小田原で作られているこの薬を、灰俵で作ってるだの、さん俵だの、炭俵だの、色々な事が書かれていますが、
この薬を持ってきた外郎さんの名前を、平仮名で「ういろう」と記した物が本物で、記す事ができるのは、私の親方、「円斉」だけです。
お集まりの皆さまの中で、熱海か塔ノ沢へ湯治(温泉で療養)にいらっしゃるか、
または、伊勢参りの時に、お店へいらっしゃる方は、間違えて他の店に行かないように気を付けて下さい。
登ってくる方は、右側、下ってくる方は左側にある建物です。
八方が八棟で、正面から見ると三棟の美しい宮殿のような造り、破風(屋根の造り)には帝より使用許可の得た菊に桐のとうの御紋がつける事ができるほどの、
由緒正しい店の薬なのです。
段落二
さて、先ほどから、うちの自慢ばかりしていても、ういろうを知らない方にとっては、
例えば、胡椒の味は、かまずに丸呑みしただけではわからないようなもの。
または、熟睡していて何が起こっても気づかない事の例えである白河夜船のようなものです。
ですから、一粒ちょっと食べて見る事で、その薬の凄さをお見せしましょう。
まず、この薬をこのように一粒舌の上に乗せて飲み込み、腹内へ納めると、
いや、何と言えばいいのやら、内臓がすっきりとして、爽やかな風が喉から出てくる感じがし、口の中も涼しい感じがします。
魚、鳥、茸、麺類の悪い食い合わせの不調やら、その他、どんな病にも速攻性があり、その効き目の速さは、まるで神のようです。
さて、この薬の第一の効き目は、舌がよく廻るようになる事です。
それはまるで、よく廻る独楽である銭独楽さえ、裸足で逃げ出すようなレベルです。
ひょいと舌が廻りだすと、弓矢でも楯でもどうする事もできません。
段落三
それそれ、それそれ舌がまわってきた、まわってきた。
アワヤは「喉音」、サタラナは「舌音」、カは「牙音」、サは「歯音」ハ(ファ)とマは「唇音」。
この薬のおかげで、全て爽やかに発声できます。
「あかさたなはまやらわ」「おこそとのほもよろを」
―早口言葉―
段落五
今日ここに、羽目を外してお集まりいただいた皆様に、是非売らなければならないと、
気力を尽くして、お伝えします。
瑠璃のように清浄な世界に住んでいる医薬の仏である薬師如来様もぜひご覧下さい!
薬師如来様も、お集まりの皆さまも敬って申し上げます!
「ういろう」をお買い上げになりませんか。